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2024年12月 4日 (水)

徐々に・・・

夕食にビーフシチューを煮込んでいました。
帰ってきたB男くんが
「ええ匂い、肉を煮ている匂いやなぁ?」
と言いました。
でもわたしには匂わない。

朝、職場の給湯コーナーでドリップコーヒーを淹れていると
「いい匂いですねえ」
と言って背後を通る人がいました。
ああ、そうなんだ、今このあたりにはコーヒーのいい香りが漂っているんだと気付きました、でもわたしには匂わない。

お弁当のあとでみかんの皮をむきかけると、後ろの席の人が
「今日のデザートはおみかんですね」
と言いました。
皮に爪を入れただけで匂うんですね、でも、わたしには匂わない。

今まで気づかなかったけど、匂いを感じない生活はまるでモノトーンの絵のようで、そこへいい香りやそうでもないいろんな香りが加わって初めて極彩色の絵が完成するような感覚だと思いました。

さて、2日ほど前、お風呂の湯船にバブの森林の香りを入れました。
森林の香りかラベンダーかと少し迷いましたが、そやそや、匂わへんねんから何を入れても一緒やん、と苦笑いしながら。

お湯に浸かりながら深呼吸をしたら、先日歩いた山の中の道を思い出しました。
あれ?
匂うやん。
まだ少し形を残すバブを手ですくい鼻に近づけると、うっ、匂う。
続けてボディソープを手のひらにとってみました、匂う。
お風呂から上がって、歯磨き粉のキャップを取って鼻を近づけてみました、匂う。

しかし、まだクンクンしたらやっと匂うくらいのレベルです。
でも、全く何も匂わなかったころから一歩前進した感じ、これは戻る自信があります。

家の中で廊下を歩きながら、階段を上がりながら、窓のカーテンを引きながら、クンクンしています。
いろんな匂いがあるんだなぁと今さらながら気がつきました。

今日、かかりつけの医院に薬をもらいに行って嗅覚障害のことを話したら、完全に戻るには1か月はかかると言われました。
でも、モノトーンの線画にようやく少しずつ色が乗り出したような、ちょっと明るい気持ちになったのでした。

 

 

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