『終わった人』と『ナビレラ』
最近『老い』がテーマの小説とドラマを見て、すんなり老いることの難しさにしみじみしてしまいました。
小説『終わった人』
大手銀行の出世コースから子会社に出向、そのまま定年を迎えた田代壮介。
仕事一筋だった彼は何もすることのない毎日に途方に暮れる。どうやら妻は彼のことを鬱陶しく感じているようだ。
「まだ俺を必要としてくれるところはある、どんな仕事でもいいから働きたい」と職探しをするが、取り立てて特技もない定年後の男に職などない。生きがいを求め居場所を探して惑い、あがき続ける男に再生のときは訪れるのか、そしてある人物との出会いが彼の運命の歯車を回す・・・。
定年退職後の時間を持て余している人、世の中にはザラに見かけます。
スーパーでは、腕組みしながら奥さんの後ろを歩いている。
町内会の寄り合いでは、小難しいことを言って会議を難航させる。
散歩のとき、知らない人には挨拶もせず道も譲らない。
果たして彼らは終わっているのかいないのか、そのうち姿を見なくなりますが、新しい『時間持て余し族』は次々出てきます。
女性は職を持っていても家庭の仕事と両立しているからか、退職後もやることがあって終わってなんかいられません。
わたしは退職金を握りしめて、年金を大事に使い、そこそこ楽しく生きて静かに終わりに移行していこうと決めています。
同じころ見た韓国ドラマ『ナビレラ ~それでも蝶は舞う~』
幼いころから憧れていたバレエに挑戦する70歳のシム・ドクチョルと、さまざまな要因からくすぶっている23歳のバレエダンサー、イ・チェロクが出会い、不思議な絆で結ばれていくさまを描く ~Netflixから~
こういうサクセスストーリーには当然紆余曲折があるわけですが、70歳のドクチョルに訪れる意外な形の試練がこたえました。
他人事ではない状況にどんより、しかし、それを打ち消すチェロクの踊る姿の美しいこと、またドクチョルの家族の対応に涙しつつ見終えました。
70歳はそう遠くない未来です。
子どものころの夢って何だったっけ?
その夢に挑戦する勇気とか気概とかはあるだろうか、否だな。
プライドが高く老いを受け入れられなくてもたもたし、第二の人生に試行錯誤するものの切ない人生を終えようとする『終わった人』の田代壮介。
老いを痛切に感じながらも、残りの人生を果敢に生きようとする『ナビレラ』のドクチョル。
どちらももうひと花咲かせようとするのですが、ドクチョルの方が動機が純粋で、あと味がよかった。
ちょっとネタバレの画像です。
期待どおりの結末、当然こうなりますわな。
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