マルタ島③バス停の悲劇
マルタ島の貴重な移動手段の路線バスは、お客さんがいっぱいになるとバス停をスルーします。
バス停で、タクシーを止めるときのように手を上げて意思表示する客がいても、運転手は「だめだめ」みたいに顔の前で指を振って通り過ぎます。
しかし、ひとり降りるとひとり、ふたり降りるとふたり・・・というように定員いっぱいまで乗せます。
フェリー乗り場へ行くバスは、わたしたちが乗ったバス停ですでに満員、途中のバス停をノンストップで通り過ぎましたが、途中のちょっと大きなバス停で数人降りたので、数人乗せることになりました。
その数人の枠を巡って乗り口のドアに客が殺到して怒鳴り合いが始まったのです。
「わたしはもう1時間も待っているんだ」
「彼女を押しただろ」
「そっちだって押したじゃないか」
という具合に押し合いへしあいのちょっとした乱闘になりました。
運転手が
「静かにしないと誰も乗せない」
と言って何とかその場を収めましたが、ちょっと認知症の顔色の悪いおじいさんは、大声で何か叫びながらふらふらと後ろへ押し戻されてその場に倒れそうになっていました。
ようやく乗れた人たちはバスの中でもまだ喧嘩をしていて、周りのみんなあきれ顔。
こういう場面は最終日のイムディーナという観光地からの帰りでも見られ、わたしたちが乗る始発点のバス停で空っぽのバスが来ると、我れ先にと乗り口に観光客が殺到、レディファーストなんてクソくらえとばかりにわたしたち母娘は押しのけられました。
運転手が
「あとふたりだけ」
と言ったとき、みんなが指を2本立ててわいわい言ってる中で、わが娘が
「2パーソンズ!」
と、とても悲しそうな顔をしたところ、それを見た運転手がOKと言ってわたしたちふたりを乗せてくれたのです。
雨が降って風が吹いて、とても寒い夕方でしたので、これは助かりました。
当然、その先のバス停では降りる人がいない限り誰も乗せませんので、がっかりした様子のお客さんを残して通り過ぎました。
しかし、始発点のバス停で、バスが来たと喜んでも誰も乗せずに空っぽで行き過ぎる場合があります。
それは、その先のバス停でずっと待っているお客さんを乗せるため、そうでないと長く待っている人は救われませんからね。
このおっさん、バス停では最後列あたりにいたのに、バスが来たとたん横からぐいぐい一番前に来るというすごいアラワザを使い家族4人で乗り込みました、ブーイングもなんのその。
実はその前にカフェでも席の取り方が厚かましかったので、わたしとあねこは注視していたんです。
すごいヤツでした、恥を知れ!
とにかく、5月でこんな状態ですから、これからの本格的なシーズンはどうなることか、思いやられます。
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