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2012年9月 2日 (日)

映画『トガニ‐幼き瞳の告発‐』

Togani_poster
聴覚障害者学校に赴任する事になった美術教師イノは、トイレから少女の泣き叫ぶ声が聞こえたり、教師が男子生徒に執拗な体罰を与えたり、不審なものを感じていた。
ある放課後、寮の指導教員の少女への壮絶な体罰を目撃したイノは、その少女を匿う。
その少女は男女複数の生徒が校長を含む教師から性的虐待を受けているという驚くべき事実を告げた。
様々な妨害を受けながらも学校側と戦う事にし、子供たちと法廷に立つイノだが…。


韓国の聴覚障害者学校で実際に起こった事件を題材にした作品です。
性的虐待シーンも正視に耐えないのですが、逮捕起訴された校長らが地元の有力者とあって、その後の法廷シーンでは、原告側の証人から検事まで買収された人間ばかりというのがなんとも腹立たしい。

Photo
トイレに逃げ込んだ少女を上から覗き込む校長、ぞっとするシーン。

さらに、判決に怒りを隠せない少年が、教師のひとりを抱え込んで線路に横たわるシーンは衝撃でした。
帰る場所も逃げる場所もない少年の最後の訴えはあまりにも悲しい。
家庭環境や教師から受けた虐待など、この少年がかわいそうでならない、架空の設定であることを祈ります。

ただ、映画が完成したころにはまだ係争中だったこの事件が、映画公開後に大きな反響を呼び、さらには法律が改正されて、こどもたちが性的暴力から手厚く守られるようになったということは救いです。

Photo_2
撮影の合間のショット、こんな風景を見るとちょっとほっとする。

韓流ブームが全盛のころにデビューした俳優たちも、30代から不惑の年代にさしかかろうとして、恋愛ものだけでは魅せられなくなっています。
ドラマ『コーヒープリンス1号店』から5年、原作を読んで映画化を切望したという主役のコン・ユくんはいい作品に出会いました。
今後もジャンルを問わず、活躍の場を広げていってほしいものです。

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コメント

こんばんわ、れいちさん

ほんとにこの映画は衝撃的でしたね・・・

私は日韓の騒動が起こる直前にこの映画を見に行けた
もんだからまだラッキーでした

今の騒動でこの映画を見に行くことをあきらめた人が
居たら残念で仕方ないですね、ほんとに映画、って感じ
のお話でした・・・

(舞台が架空の都市で、コン・ユ君の役の先生と人権団体のお姉さんの役が新たに設定した役で、残りは事実の
話だそうです・・・・。蓮池薫さんが翻訳の小説もでていますよ・・・私は図書館で順番待ちなんです、私の前にも
5人がこの小説を読みたいんだ、へぇ、って思っちゃい
ました)

投稿: あまみつつき | 2012年9月 5日 (水) 18時12分

れいちさん
本日一日1回きりの上映になったこの映画を観てきました。ハングルの聖書教室ではすでに見た方たちが「言葉がない」とおっしゃっていました。
しょっぱなから正視に耐えない場面が続きましたね。

原作者の孔枝泳(コン・ジヨン)氏は「現実はもっと酷かった」と語っていますね。(しかし、コン・ジヨンさん、すんごい美人
http://www.nikkei.co.jp/category/offtime/eiga/news/article.aspx?id=MMGEzv003031072012

このことを取材した作家、この映画を作った監督、映画を観て署名活動をして裁判をやり直させた韓国の一般の方たちがいたことが救いでしょうか。

娘の小学校に時代の同級生(男子)もフェイスブックでとりあげていたようです。
重い映画の記事をアップしてくださってありがとう。

投稿: 秀子 | 2012年9月 5日 (水) 20時07分

あまみつつきさん
わたしは騒動が起こってから映画を見ました。
この記事を書くことや書いている途中でもいろんな思いが交錯しましたが、やはりこの映画のすばらしさを知って欲しくて、遠慮がちに褒めました、肝っ玉の小さいわたしです。

小さな映画館で、あまり宣伝もやってなかったから、入り具合が心配でしたが、さにあらず!席は8割がた埋まっていました。
衝撃の事実と手に汗握る法廷劇で、あっという間の2時間でしたね。

>コン・ユ君の役の先生と人権団体のお姉さんの役が新たに設定した役で、残りは事実の話だそうです・・・・
え~っ、ヨンスも実在するってことですか?
あの子、弟のことや父親、おばあちゃんに至るまで本当にかわいそうな環境で、たった10年ちょっとであのような死に方をしなくちゃならないって、ああ、あかんわ(;_;)

わたしもさっそく図書館で原作のネット予約をしました。
貸し出し中でしたが、予約順位1番なんでまもなく読めるかしらね。


投稿: れいち | 2012年9月 5日 (水) 21時41分

reiさん こんばんは。

もうね・・・予告編観るだけでなんか胸が苦しい

体調の良いときに観に行こう~

コン・ユに惚れちまいそうな予感~~~

投稿: のりりょん | 2012年9月 5日 (水) 21時45分

秀子さん
あの双子のおじい、気持ち悪かったですね。
善意の皮をかぶったケダモノです。
実際にあるんですね、こんな残虐なことが。

一緒に見た長女と、映画のあとでおいしいものを食べようということになりましたが、
「ほんまやろか、ほんまのことやろか」
ってずっと言ってました。

原作者のサイトのご紹介ありがとうございます。
外国での上映で、破廉恥な出来事を世界中に晒してしまうことになりましたが、この公開こそが次の犯罪への大きな抑止力になっていくに違いありません。

ブームのときにたくさん上映された恋愛映画、その後ちょっと韓国映画の上映は下火になりましたが、こんなカタチで魅せてくれるとは驚きでした、

以前『クロッシング』を見たときに、ずど~んとした気持ちになったものですが、今回はそれ以上に言葉がありませんでした。
次は久しぶりにねっとねとの恋愛映画を見たいです。

投稿: れいち | 2012年9月 5日 (水) 22時05分

のりりょんさん
予告編、はい、苦しい気持ちわかります。
しかし、ぜひ本編を見て怒ってほしいです。
現実の事件はジョンジェのドラマ『砂時計』で民主化運動の舞台となったところだそうですが、映画では霧の街として有名なムジンという架空の町という設定になっています。
この霧の街がクセモノでして、霧をうまく取り入れながら、な~んか事件をうやむやにしてしまうだなぁ、これが。

おっと、のりりょんさんの実家の向かいの映画館へ回ってくるまでお口チャックしておきますね。

ではハナシ変わってコン・ユね。
どうなんだろう、そんなに積極的に告発していく行動派の先生ではないのです。
最後の方、自分のこどもとの生活に戻っていく姿は・・・やはり、どうなんだろ?

投稿: れいち | 2012年9月 5日 (水) 22時23分

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