『スラムドッグ$ミリオネア』
今年のアカデミー賞8部門を獲得した『スラムドッグ$ミリオネア』を見ました。
人気クイズ番組「クイズ$ミリオネア」のインド版に出演し、全問正解まであと1問というところにまで迫ったスラム街出身の少年ジャマール。幼い頃に孤児となり学校に通ったこともない少年のまさかの奮闘ぶりに、世間は驚愕。“どんな卑怯な手段を使ったのか”という疑惑が広がったために彼は警察に逮捕され、拷問により自白を強要される。彼は語り始めた。図らずも回答のひとつひとつを知ることになった、自身の過酷な経験を。そして、彼がクイズに参加した“本当の目的”が明らかになっていく……。
クイズと警察での尋問とジャマールの過去、それぞれの場面がうまい具合に交差しながらつながっていき、やがて「ああ、そうだったのか・・・」と腑に落ちるという作りでストーリーが進みます。
母を亡くした原因となる宗教の対立から得た答え、徐々にお金に執着するようになった兄が、ある日手にしていた銃から得た答え、人身売買され目をつぶされた仲間から得た答え・・・それらの答えを引き出すことは悲しい過去を思い起こすこと。このあたりジャマール役の青年の素朴な演技に引きこまれました。 そしてこの素朴な青年は恋をする、それがこの映画を悲惨なだけでは終らせてなくて、というかむしろ素朴なジャマールが少女ラティカに寄せる一途な想いを描くことで、この映画のテーマがより際立っているように感じました。
ジャマール たくましく生きる幼少期、野外トイレに閉じ込められて脱出する場面では、うっ・・・。やがて素朴な青年へ、真ん中のころが一番可愛かった。
ラティカ ジャマールが想いを寄せる少女、美しく成長する。兄弟と生き別れ、過酷な運命に翻弄される彼女もまた孤児。
サリーム ジャマールの兄、小さいころからちょっと意地悪なキャラ。お金と権力にとらわれ徐々に身を落としていく。
大人になったジャマールと兄のサリームが建設中のビルの上階から街を見下ろすシーンがあります。 「俺たちの育ったスラムが、信じられないことに今はビジネス街だ」 と言うサリーム。街の概容は変わっても階層社会とこどもを取り巻く環境はたいして変わっていないことは、この映画の公開を前後して、出演子役の家が政府の方針で取り壊されたとか、同じく子役の女の子が人身売買されそうだとか、とかくよくない情報が聞こえてきたことからも明らかです。 近年、急速に近代化を遂げたインドですが、今もなお根強く残る社会問題をたっぷりと見せていただきました。
さて、ラストの一問は正解したのか否か・・・。それは言わないでおきましょう。冒頭に出るクイズの答えと関係していますから。
| 固定リンク
« 詰め放題 | トップページ | 奥様、羽を伸ばす »
コメント
いやあ、良くも悪くもインド。
パワーがあることだけは確かだと思いました。
最後の踊りでとどめ^^;
投稿: 湖知流 | 2009年6月11日 (木) 14時34分
こんばんは~☆
reiさん、湖知流さん 、コレ面白かったですか?
DVD(もちレンタル)出てからでも観る値打ちアリ?
たしか『ベンジャミン・バトン・・・』観に行った時、予告で流れたような。。
ということは、ウリ田舎の映画館でも上映されたんでしょうかね~
『・・・ミリオネア』と聞いた時、へ?みのサンの?と、一瞬興味をそそられた記憶はありますが・・・
投稿: のりりょん | 2009年6月11日 (木) 18時41分
湖知流さん
近くの映画館でやっていなかったのでやっと見ました。
いやあ・・・
ショックでしたね。
これがインドの現実かと目を背けたくなる場面の連続でした。
でもこどもたちのたくましさったら・・・
弟のあどけなさったら・・・
救われました。
ストーリー運びはうまかったですね。
無駄なエピソードはひとつもなくて、哀しみに浸る間もなく次なるクイズへと、もう息もつけない展開でした。
ラストシーンね、インドらしい終わり方、ぷぷぷ。
そういえば北野武監督の『座頭市』でもこんなシーンがありましたっけ。
投稿: れいち | 2009年6月11日 (木) 21時18分
のりりょんさん
さすがアカデミー賞8部門獲得作品です。
インドが抱える社会問題をとてもわかりやすい形で描いています。
見る価値絶対にあり です。
ベンジャミンより数倍おも・・(以下自粛)
クイズミリオネアってイギリスが発祥で、現在世界のたくさんの国でやってる番組らしいのですが、みのさんの日本版と音楽は一緒です、ちょっとほっとしました。
(でも・・・インドの司会者はみのさんほどタメない)
ぜひご覧ください。
投稿: れいち | 2009年6月11日 (木) 21時27分
のりにょんさん、私もおすすめ^^
クイズの場面ではどうしてもあの方が頭をちらちらしてしまうが・・・
投稿: 湖知流 | 2009年6月12日 (金) 08時14分
これから見ようと思っております。
オススメなんですね?
インド。
昔知っていた演出の偉い人が
初めてインドに旅をしたとき、
しょっぱな現実にころがっている風景に
ガンガンにヤラれて、後から旅に参加すべく
やってきた弟子の顔見て
ワケもなく泣いた・・・っての読んだことあります。
偉い人、当時も立派なおっちゃんになってたはずなんですが・・・・
インド、行ってみたかったんですが、
もう足腰に自信がないぞ。^^;
投稿: miyuki | 2009年6月12日 (金) 13時07分
湖知流さん
どこの国でも司会者はひと癖ありそうなおっちゃんなんでしょうかね。
インドの司会者、いいやつなんだかそうでないのか・・・未だもって謎です。
たとえば・・・
この番組のスポンサーは、番組に大金を投じるより、スラムに暮らすこどもたちを救済することにお金を使ったらいいのに、とか思ってしまいました。
ねっ、のりにょんさん
湖知流さんも薦めてらっしゃることだし、ぜひ見てくださいね
投稿: れいち | 2009年6月12日 (金) 20時35分
miyukiさん
あんのぅ・・・
最近、痛い系の映画をご覧になったようですが、これもちょっと痛いです。
わたし、痛い場面では泣けませんが、この青年の一途な気持ちに泣けてきます。
演出家の先生、現実を目の当たりにして自分の無力さに涙されたんじゃないんでしょうか。
同じく、なんとかならんものなのか・・・って泣けてくるんですわ。
なんやらようわからんでしょうが、とりあえず見てくださいませ。
>インド、行ってみたかったんですが、
>もう足腰に自信がないぞ。^^;
わたしは、ガンジス川で泳ぎながらカラダを洗うより、やっぱりお風呂で汗を流す旅がしたいです。
投稿: れいち | 2009年6月12日 (金) 20時48分
こんばんは。^^
れいちさんはいろんなジャンルの映画、ご覧になりますね!これが本当の映画ファン!
私は、フランス映画は難解・・・
インド映画はちょっと・・・
痛いのはダメ・・・ラブコメはすかん・・・
とかで、映画ファンとはいえましぇんでしゅ・・・
この映画、ある意味ラブストーリーって何かに書いてあったんだけど・・・やっぱり痛いんですね・・・
余談ですが・・・
「朱蒙」今、36話です。
ほんま、男前でないけど・・・面白いですね!
(それでも、おとこおんな好きだもんで~)
サヨンだっけ?
ニコって笑った時、ちょっとクラっときますだ・・・^^;
投稿: みつこ | 2009年6月12日 (金) 23時55分
みつこさん
>この映画、ある意味ラブストーリー・・・
はい、充分そうです。
痛いけどラブ あり、愛とは痛いものなのか・・・
わたしも、喰わず嫌いな分野多々あります。
ハードボイルド、ウェスタン、ミュージカル・・・
でも最近ごちゃまぜビビンパ大好きなように、映画もジャンルにこだわらず見ています。
『朱豪』
よろしいでっしゃろ?
サヨンにクラッ・・・?
おほほ、彼、何度も危ない目にあいますね、無事でしょうか!?
次々気になるところで終わるから続きが気になってなかなか席を立てなくなります。
ちょっと古いですが『がんばれ!クムスン』はご覧になりましたか?
朱豪の2番目の妻、ハン・ヘジンちゃんがキュートで、これまた家族とは?と度々泣かされながら見ました。
では1番目の妻、ソン・ジヒョ嬢が精一杯脱いでがむばった『霜花店』の予告編貼っておきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=qlX4yjRQXHE
みつこさんのお好きなおとこおんなではありませんが、おとこおとこです。
本編、これまたかなり痛いです。
大事なところを・・・ああ~~~
投稿: れいち | 2009年6月13日 (土) 02時12分
れいちさん、また、こんばんは。^^
「がんばれ!クムスン」φ(..)メモメモ~
どれ見たらいいのか分からないので助かります。^^
以前、一緒に中国ワイヤーアクションにハマってたDVDメイトが、今や韓ドラ一筋で録画、ダビング、とHD一日中フル回転なんですよ。だから、なんでも貸して貰えるんです!
これまた助かります。^^
韓ドラは見出すと止められませんからね~~^^;
「霜花店」は映画ですね。時代劇だしよさそう~~
けど・・・大事なところって・・・
どこが痛いんだろう・・・
投稿: みつこ | 2009年6月13日 (土) 22時17分
みつこさん
韓ドラ愛好家の方々はみなさん気前がよいというか、楽しみを共有しようとするための労苦を厭わない方が多いようです。わたしも奇特な方々のおかげで韓ドラを心置きなく楽しませていただいてます。
一週間に一度の放送を見るより一気にだーっと見た方がハマりますしね
映画『霜花店』はチョ・インソン入隊前の話題作です。
刺激的、官能的なシーンが多くて、だからナニが言いたいの?とか考え出したらいけませんや。
ご覧になる機会がありましたら、純粋に場面を楽しむ、これで最後までイッキにイッちゃってください。
>大事なところ・・・
我々女子にはないモノ、これが、ああ、痛いのよ(ノ_・。)
投稿: れいち | 2009年6月14日 (日) 02時31分